固定資産税とは
固定資産税とは、毎年市町村に納める地方税の一つです。
その年の1月1日時点で、土地や家屋・償却資産と呼ばれる課税対象となる固定資産を所有する人が、固定資産の評価額に基づいて納めます。
固定資産の範囲は広く、下記のようなものが当てはまります。
- 土地:田畑、宅地、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、雑種地
- 家屋:住家、店舗、工場、倉庫など、屋根および三方に壁があり土地に定着している建物
- 償却資産:会社や個人で事業を営む人が、その事業に使うために所有している機械・器具・備品のうち、自動車税や軽自動車税の課税がない資産
固定資産税は、こうした土地や家屋などの評価額を基に計算されます。
基本的に家屋は年月とともに劣化するため、年々評価は下がる傾向にあります。
しかし土地は再開発や駅の新設など、様々な理由で上がる場合もあるので、決して一定ではありません。
【固定資産税=課税標準額×1.4%】
※基本的に税率は1.4%ですが、地方税のため自治体によって差があります 土地の評価により左右されるため一概には言えませんが、一戸建ての固定資産税は10~12万円ほどが平均的な相場です。 毎年5月~6月ごろに納税通知書が送られてくるので、一括または年4回に分けて納付します。 1年の途中で土地を売買したときには、引き渡し日以降は買主負担となるのが一般的です。
固定資産税は免税・減税される場合がある
固定資産税は毎年支払なければならないものですが、場合によっては「免税」もしくは「減税」される場合があります。
しかしいずれも申告が必要で、無申告の場合は免税も減税もされません。
節税のためには、条件に該当するか把握し申告漏れがないよう注意する必要があります。
固定資産税が免除される条件
公共施設や私道・公園などの場合
地方公共団体や学校法人、社会福祉法人などが所有しており、本来の用途で使用されている場合は非課税です。
学校や福祉施設、公園、公衆用道路などの公共施設が当てはまります。いずれも無償の場合のみ適用されます。
また私有地でも公益性の高い土地であれば、非課税です。例えば公園や私道などが挙げられます。
私道とは国や自治体ではなく私人が所有する土地を道路としているもので、以下のような条件(下記は東京都の例)を満たしていれば、私道として認められます。
- ● 幅が1.8m以上
- ● 他の公道に通じている
- ● 不特定多数の人間が通行している
- ● 客観的に道路とされるもの
ただし国や自治体が保有していなければ、私道と認められるわけではありません。私道は申告制になっています。
所有する固定資産の価値が低い場合
所有する土地などの資産価値が一定未満の場合、固定資産税は免除されます。
各市町村が決定する課税標準額の合計額が、以下の基準を下回る場合が対象です。
- ● 土地:30万円未満
- ● 家屋:20万円未満
- ● 償却資産:150万円未満
ただし、同じ市町村内に複数の土地や建物を所有している場合は、その合計額で判断されます。
火災や震災などで修復不能な被害にあった場合
所有する土地や建物が、火災や震災などの被害にあった場合、固定資産税が免除されます。
全額免除になるのは、火災や震災により建物が全壊・全焼など原型を留めず修復不能になった場合です。
被災日以降の、納期がまだの固定資産税が免除の対象になります。
固定資産税が減税される場合の条件
新築一戸建ての場合
2022年(令和4年)3月31日までに建てられた新築一戸建ては、3年間は固定資産税が2分の1に減税(住宅部分の120㎡まで)されます。
これは、以下2つの条件を満たしていると適用されます。
- ● 床面積が50㎡~280㎡以下の場合
- ● 新築の場合
こうした減税を受けるには、検査済証や建築確認申請書などの必要書類を自治体の税務課へ提出し申請します。
また、長期優良住宅と認定されていれば、3年間から5年間に延長されます。
省エネ改修工事を行った場合
省エネ改修工事を行った住宅(120㎡まで)は、翌年の固定資産税が3分の1に減税されます。
省エネ改修工事とは室内における暑さ・寒さなどの快適性向上や、暖冷房・給湯などの設備機器の消費エネルギーを少なくするために実施されるリフォームのこと。例えば窓や床、壁などの断熱工事が当てはまります。
この特例を受けるには、以下のような条件を満たさなくてはなりません。
- ● 2021年(令和3年)12月31日が適用期限
- ● 2000年(平成20年)1月1日以前から所在する住宅
- ● 工事後の床面積が50㎡~280㎡以下
- ● 賃貸住宅ではない
- ● 床面積の半分以上が居住用ではない など
こうした条件以外にも、工事内容やリフォーム費用によって適用かどうか判断されます。
自治体の税務課やリフォームを依頼する会社へ相談しましょう。
耐震改修工事を行った場合
耐震改修工事を施すと、固定資産税が1~2年間は2分の1に減税されます。
耐震改修工事とは住宅の基礎をコンクリートや鉄筋で厚く補強したり、壁を増やしたりといった補強工事です。
減税には以下のような条件があります。
- ● 新築の場合は適用外
- ● 1982年(昭和57年)1月1日以前からある住宅を、現行の耐震基準に適合させる場合
- ● 自治体が指定する重要な避難路の側であれば2年間の減税
耐震改修工事完了から3ヶ月以内に、耐震改修証明書や増改築工事証明書などを自治体へ提出して、申請することで適用されます。
バリアフリー改修工事を行った場合
バリアフリー改修工事を行うと、住宅の100㎡相当分までに限り、翌年の固定資産税が1年間は3分の1に減額されます。
具体的には以下のような工事が対象です。
- ● 通路などの拡張
- ● 階段の勾配を緩和
- ● 浴室もしくはトイレの改良
- ● 手すりの取り付け
- ● 段差の解消
- ● 出入り口となるドアの改良
- ● 通路を滑りにくい床材へ取り換え
- ● 工事費用が50万円を超えている
さらに、賃貸住宅ではないことや新築された日から10年以上経過しているなど、工事内容だけではなく住宅にも条件があります。
また、自治体によってはバリアフリー工事に補助金を設けている場合があります。
しかし、補助金を除いた工事費用が50万円を超えなければならないので、「補助金と固定資産税の減税どちらがお得なのか」判断しなくてはなりません。
さらに、前述した耐震改修工事による減税と併用可能です。
火災や震災などで損壊した場合
火災や震災などで全壊した場合は全額免除でしたが、損壊の場合はその度合いに応じて減税されます。
以下のように、損壊レベルによって減税額が変化します。
- ● 主要構造が著しく破損し、10分の6以上の価値が失われた時:10分の8減税
- ● 屋根、壁などが破損し使用目的を果たせない状態で、建物の10分の4~10分の6未満の価値が失われた時:10の6減税
- ● 下壁、畳などが破損し、使用目的を果たせない状態で建物の10分の2~10分の4未満の価値が失われた時:10分の4減税
固定資産税の納付期限より7日前までに市町村の担当窓口へ被災証明書を提出し、申請することで減税手続きができます。