相続税対策 ~基礎知識~

相続税対策 ~基礎知識~

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相続税対策の基礎知識

相続税とは?

相続税は思いのほか大きなものであり、また資産(相続財産)が大きければ大きいほど、その税率も高まります。

具体的には、相続税は次のような基準によって課税されます。

・相続税の基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)
・税率 = 10%~55%

例えば9,200万円の相続財産に対して相続人が2人の場合、基礎控除額は4,200万円(3,000万円+600万円×2人)ですので、5,000万円(9,200万円-4,200万円)について相続税が課税されます。

その際の税率は、相続人ごとに別個に適用されます。Aさんが6割、Bさんが4割の相続をするならば、課税対象額の5,000万円を6割と4割に按分します。つまりAさんはこのうち3,000万円を相続するため税率15%、Bさんも2,000万円を相続するため税率15%が適用されます。税率の決定に際して、追加の支払い控除額が指定されています。たとえば相続額3,000万円以下では算出後の税額から50万円減額すると定められています。したがって、Aさんの納税額は400万円、Bさんの納税額は250万円となります。

相続税対策の必要性

このように、たんに相続を受けるだけで大きな税を課されることになります。特に平成27年1月1日に税制が改正され、相続税の基礎控除額が減額となったため、相続税の負担はますます大きくなりました(上記の例は新税制にもとづく計算)。相続税支払いを分割する延納という制度もありますが、それでも納付のために遺産の一部を手放さざるを得ないケースもあります。

それゆえ事前の節税対策は欠かせません。将来の相続に向けた入念な事前準備をすることで、相続税はかなりの程度まで抑えることができます。

相続税対策にはいくつかの方法があります。特に節税効果が大きいものは、不動産運用を行うことと、生前贈与を行うことです。他にも会社設立、生命保険、養子縁組といった方法が知られていますが、今回は特に大きな節税効果を期待できる不動産運用と生前贈与に絞って解説します。


相続税対策として不動産を運用するメリット・デメリット

メリット

そもそも、不動産投資がなぜ節税につながるのでしょうか。

それは、現金や預金の形で持っている資産を不動産に変える(投資)することで、課税対象としての資産の「評価額」が大きく下がるからです。言い換えれば、不動産に変わった資産は実際よりも小さな資産とみなされ、相続税が小さくなります。

不動産には土地部分と建物部分があり、この両方について相続税が課税されます。戸数の多いタワーマンションでは、マンションの建つ土地を全ての入居者で分割して所有するという考え方をするため、土地部分の資産価値が小さく抑えられ、とりわけ節税に有利です。

不動産運用には、相続税対策の他にもメリットがあります。

まず、家賃という形で定期的な収入を得られます。とりわけ相続以前の老後を見据えたとき、家賃収入は大きな安心材料となります。

次に、相続税だけでなく所得税や住民税も節税することができます。これはなぜでしょうか。所得税や住民税の課税額の根拠となるのは、給与所得や事業所得だけでなく、不動産所得も合算した上での所得金額です。もし不動産投資において、減価償却費・修繕費・管理費などの経費が家賃収入を上回れば、不動産所得は赤字となります。するとこの赤字分が、給与所得や事業所得の黒字と合算されて所得金額を押し下げてくれますので、結果として課税額を抑えることにつながります。

デメリット

一方で、不動産投資にはデメリットも存在します。

上記のように不動産所得が赤字になれば節税効果が増す半面で、逆に黒字になれば、その所得額に応じて所得税・住民税の課税額が大きくなります。

また不動産投資のもっとも大きなデメリットは、「空室リスク」と呼ばれる投資リスクです。入居者が見つからず空室となってしまえば、その間は家賃収入が全く入りません。空室リスクへの対応としては、いくつもの物件を所有することでリスクを分散させるという方法が効果的です。

加えて、物件のメンテナンスや退去時のクリーニング、また定期的なリフォームなど、物件価値を維持するためのコストが時折必要です。